中国語のいまむかし
日本語でも、昔と今とでは、使われるシチュエーションだとか、意味だとか用法だとかが、異なってしまった言葉がありますね。
それは、言葉が、常にその時代の風潮や人々の習慣とともに絶えず変化している、つまり生きている証だといえますが、中国語でもそれは同じ・・・・・・
ということで、この前 授業中の雑談のさなかに出てきた、いまと昔では趣をがらりと変えてしまった言葉について、三つ ご紹介したいと思います。
【 交 往 】(jiao wang)
この言葉のもつ意味はもともと とても広くて、国家間のことにも使うし、企業や団体、個人間のつきあいのことにも使います。
ただ、最近の傾向として、若い人(年軽人)が使う場合には、男女のお付き合いを指すことがほとんどだそうです。それは、先生曰く、どうも日本のドラマの影響が大きいらしい。
中国では、日本の恋愛ドラマ(かつて流行ったトレンディドラマ)の類をよく放送していますが、そこで描かれる男女の諸々(もろもろ)、それを表す言葉として「交往」を用いたことがはじまりで、そこから若い人たちに広まった、新しい用法だそうです。
先生のご両親が若かった頃には、「交往」には、そんな男女間のことを指す意味はなかったといいますから、今と昔では男女のお付き合いに対する、世間の意識が変わったことの表れでしょうか。
ちなみに、昔は男女間のお付き合いのことを何と言っていたかというと、
「談 朋友」だそうです。
なんか、ベンチに二人が座って、つつましく言葉を交わしている、そんな清楚なイメージが自然にわいてくる言葉です。
つぎに、私が「ほかに何か、今と昔で意味の違う言葉はないですか?」と尋ねたところ、ちょっと顔を上げて思案していた先生が、すぐにさらさらっとホワイトボードに書いたのが「同 志」という言葉でした。
【 同 志 】tong zhi
私は、以前とある雑誌で、この言葉の意味の変遷について読んでいましたので、先生の手元から現われた文字を見た瞬間「ああ・・・。」とにんまりしてしまいました。用法が昔と今とではまったく変わってしまった、代表的な言葉です。ご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが・・・。
同 志・・・この言葉は昔の映画でよく出てくる言葉。意味はそのまま直訳して「同志=仲間」です。社会主義が高らかに謳われていたいた時代、すべての隣人は「同志=仲間」でした。同じ志をもって、社会のために尽そうという、崇高な理念のあらわれでした(現実がどうであったかは別にして)。
それがいまでは、同志 というと、同性愛者のことを指す言葉になってしまったそうです。同じ志を持つ者・・・・・・その志の中身がちょっぴり変わってしまったということですね。
そして、ここにも実は日本の影響があるそうです。
というのも、日本から入ってきた漫画、これがその「同志=同性愛者」の意味に深く関わっていると。
先生はさほど詳しくは言いませんでしたが、何を指してのことなのかはもう明らか・・・(ですね)
「日本にはあるでしょう、そのテの漫画が。」と、その目は語っていましたね。で、私も「あります、確かに そのテの漫画が。」と、深く頷きつつ、目で答えたのでした。
ですから、中国の映画で、みんなが「同志」と呼び合っているからといって、現地で仲良くなった方の肩など組んで、うっかり「同志」なんて口走ってしまった日には、大変なことになりますので、この言葉の取り扱いには重々ご注意を・・・。男性の方はと・く・に。
ちなみに先生に「看過同志漫画ma?」と尋ねたら「没有」という答えでした。
【 小 姐 】xiao jie
これは、同志に比べるともっと身近な言葉なので、その意味の変化については広く知られているかもしれませんね。旅行中の「使ってはいけない」要注意ワードとして挙げられることもしばしばですから。
先生の説明によると、昔(古代)は、未婚で身分が高い女性に対する敬称だったそうです。だから、歴史ドラマでは、良家の子女に対して、このように呼んでいるシーンがよくみられるとか。日本語的に言えば、「小姐=お嬢様」といったところでしょうか。
それが、もっと一般的に未婚の若い女性を指す言葉として用いられるようになったのが近年。街ゆく若い女性を呼び止める際とか、レストランで女性従業員をよぶときとか。たぶん、中国語の教科書にも、小姐=若い女性に対する呼称 としてひろく紹介されていたことでしょう。
ところが、いまは現地の人はもとより、旅行者も決して使ってはいけない言葉として認識されつつあります。といいますのも、「小姐」というと、水商売、とりわけ風俗関係に従事する女性を指す言葉になってしまったから。
それを最初に聞いたのは、去年中国語を教えてくださった張老師(40代)からでしたが、張先生によると、ある村でうっかり女性を「小姐」と呼んでしまったために、村の男たちに袋叩きに遭いそうになった友人が居る、ということでした。
地域による差は若干あるにしても、田舎ほど、女性に対する呼称には気をつけないといけない(=じゃないと大変な目に遭う)というお話でした。
それを聞いてから、間もなく行った北京では、現地ガイドさん(男性)は、レストランでもホテルでも女性従業員を呼ぶ際には必ず「服務員ル」と言っていたのがとても印象に残っています。
かと思えば、アモイで一緒だった女性ガイドさんは、普通に「小姐」と呼んでましたけどね。でもそれは、ガイドと言う仕事を通じて、その店となにかしらの関係性があるからでしょう(あと同性同士ということもあり?)。
そのような関係性をなにも持たない旅行社が突然「小姐」と言ってしまうと、恐らくひんしゅくを買うと思われますので、商業施設において女性従業員を呼ぶときには、正規の呼び方「服務員(fu wu yuan)」を使うほうがよいというのが、先生のアドバイスでした。
旅行者ゆえ、そんなに表立った非難にはあわないかとは思いますが、やはり郷に入りては郷に従え。言葉はその国の根っこを支える大切な文化ですから。その用法には敬意を払って、その国の流儀に倣う姿勢が大切だと思います。
「じゃあ、普通の若い女性に呼びかけるときはどうすればいいの?」という疑問がわいてきますね。街ゆく人に「服務員」は使えませんから。道をききたいときなどはどうすればよいか。
このことについては、今度先生に訊いておきたいと思います。
今日は、今と昔で用法やら意味が大きく変わってしまった言葉、
「交 往」 「同 志」 「小 姐」についてのお話でした。
そのうち、二つが日本からの影響だという点が、とても面白かったです。特に「同志」の意味が 日語過来的 というのは「あはは
」でしたね。
これらの話題が少しでも中国語学習にピリリと妙味を効かせるスパイスとなりましたら、幸いです。
それではまた次回の「中国語カテゴリ」まで、再見![]()
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【PM9:30】
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